気になる言葉:「双方」
自民、公明両党は25日、天皇陛下の退位を実現する特例法案をめぐり、付帯決議案の修正案をまとめた。女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設や、政府が検討結果を国会に報告する期限を明記することを見送った。民進党は 双方 を明文化するよう求めており、主張には溝がある。文言調整に手間取れば、法案の審議入りが遅れる可能性がある。
「双方」をこういう風に使うの最近ときどき見るけど,違和感があるんだよな。「双方」っていうのは例えば原告と被告,労働者と使用者みたいに対立関係にある2者(もっと言うと,1つのものを半分に割った両側)について使うものでしょう。日経は「女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設」「政府が検討結果を国会に報告する期限」を指して「双方」と言っているけど,これは単に2点あるというだけ。2つあれば何でも「双方」と言えるわけではない。
試しに辞書を引いてみると新明解の説明が上手かった。三省堂国語辞典はこの語については不十分だと思う。
そう ほう[双方](名)両方。「当事者―の主張」
(三省堂国語辞典第7版)
そう ほう【双方】(一対となり)関係しあう両方。
(新明解国語辞典第7版)
そう‐ほう サウハウ【双方】〘名〙 あちらとこちら。両方。
*北野天満宮目代日記−北野宮寺御棟上御遷之次第・天文九年(1540)八月一三日
「林の木二三十本ふきをり候て〈略〉木皆々分申候。何も枝はさうはうとも目代給候」
*黄表紙・敵討義女英(1795)上
「そうはうを制し、だんだんわけをききけるに」(精選版日本国語大辞典)