メモ:音楽用語について

major, minor (伊 maggiore, minore) は日本語だと「長調,短調」だが中国語では「大調,小調」である(自然大调 - 维基百科,自由的百科全书)。日本人の感覚だと後者はずいぶん直接的で,前者の方がなんとなく含みがある感じでいいなと思う。これは高校のとき吹奏楽部の顧問から聞いた話。ただ,そもそも長調・短調という概念を大きさや長さのメタファーで表現するのはどういう理由からなのか,いまひとつよく分からなかったりする。


音量の大小は forte のように力のメタファーで表現することがわりと多い(piano は flat, plane の意味なので少々違う)。音量(変化)のことも dynamics (=力学)と言う。日本語でも f, p のスタンダードな訳語は「強く,弱く」で,口頭でよく言う「大きく,小さく」は少し俗な感じもする。大学時代にオケで振ってくださっていたM先生は「強く,弱く」を使っていたように思う。

もっとも,本来は見方が逆といえば逆で,forte と書いてある箇所は何らかの力強さが感じられるように演奏すればよいわけで,必ずしもそれを音量で表現する必要はない。ま,forte のような基本語彙をそこまでこねくり回すとえらいことになるが。


英語では f, p を意味するのに big, small はあまり使いそうにないな。英語版 Wikipedia では loud, soft とある。big, small だと major, minor と意味が似通ってしまうのも一因だろうか。


ff は fortissimo なので,フォル「テ」シモではなくフォル「ティッ」シモの方が原語に近い。これもM先生は後者で言っていた。クリスチーネ・剛田の作品も『愛・フォルティッシモ』が望ましいわけだ。