2021年春ドラマ感想
8月も終わろうとしているところだがやっと時間がとれたので2021年春ドラマの感想を書く。なぜか良作が多いシーズンだった(それに比べて夏ドラマは各局いいのがない。オリンピックに予算を振っていたのか)。
NHK「今ここにある危機とぼくの好感度について」。骨太の脚本で,総合的にみて今クールのベストと思う。現政権に対してNHKが正面切って言えないことをドラマにしたんじゃないかと思うこと多々。中身のない会見をしようとする場面で「そんなことを言ったら世界中から馬鹿だと思われますよ」という台詞が良かった。世界中から馬鹿だと思われそうな会見,最近本当によくあるのが悲しい。挿入曲としてバッハ「目覚めよと呼ぶ声あり」が繰り返し使われていた。ほか,ラプソディー・イン・ブルー風のメロディーも聞こえてきた。オープニング曲はティボールの「序奏,主題と変奏」(トロンボーンカルテット)によく似ている。
カンテレ・フジテレビ系「大豆田とわ子と三人の元夫」。洒脱な脚本と画作りで毎回楽しみに観られたドラマ。台詞は完全にファンタジーで,ちょっと遊びすぎかもしれないがこの鬱屈した社会情勢においてはこれくらい茶目っ気があってちょうどいいだろう。エンディングが毎回の内容に合わせて違う映像・違う歌詞で,どれだけ金がかかっているのかと心配になるほどのクオリティ。配信で坂東祐大のサウンドトラックも入手してしまった。アコースティック中心で自由なテンポ,明るい曲調が多く,ひたすらいい気分になる。
NHK「きれいのくに」。ちょっと不思議なテイストで野心を感じる。30分の濃密さがしびれる。特筆すべきは高校生役の5人の演技がごく自然なことで,どういう準備をしたのか分からないがこの空気感を出そうと思って出せるのはすごいと思った。全8話のうち3話ぐらいまでが序章というのも大胆で興味深かった。
NHK「半径5メートル」。本題ではないかもしれないが,SNSで話されるその身近なモヤモヤ,裏事情はこうかもしれないよ,と言っているようでもあり。SNSとは切っても切れないような話題が多かった。
テレビ東京「ソロ活女子のススメ」。いかにも金曜夜のテレ東。飄々とした江口のりこを面白く観察する番組だった。イントロとラストのチープな感じもまたよし。最終回の柄本明は江口の所属する東京乾電池の座長。